映画「たそがれ清兵衛」

以前、映画館で「隠し剣 鬼の爪」を観たが、
これは同じ監督の以前の作品だ。
同じ様に江戸時代末期のサラリーマン的侍の日常を描いた作品で、
私はこれを大変面白く観た。
この2作品を比べるのもおかしいが、
「隠し剣 鬼の爪」はヒーロー映画的な、面白みがあるのに対し、
「たそがれ清兵衛」はそのような箇所が無く、
全くの当時の人間の日常を映し出したシーンが淡々と続き、
ラストでは主人公の娘が「彼は決して自分を不幸だとは思っていなかった」と締めくくられる。
私が思うに、この映画の主人公は現代のサラリーマンに例えられるが、
それは微妙にズレがあると思う。
彼は追い詰められた場面でも、侍である事を止めなかったし、
結果的には死闘も果たし、後に戦争で死んだ。
現代のサラリーマンのネクタイに当たるものがチョンマゲだとすれば、
刀は何にサラリーマンのあたるのだろうか?と私は思ったのだ。
主人公の人間らしくまた、潔く、苦労しながら暮らす姿には、
とても心打たれるものがあった。
そこに現れた宮沢りえ演じる”なんとかえ”(もう名前忘れた)は、
彼の信念を貫き通した姿を物語の中で強調する役割を十分に果たしたと思う。
現代のサラリーマンドラマであれば、
「今から決闘に行ってくる!」
「行かないで~、死にに行くようなものだわ~。あー」
「オレにアイデア(とんち)がある」
だろう。
そんなハリウッド的な表現は、この映画には無く、
職務を全うする男の姿が描かれる。
私はこの映画が、なんかどっかで賞を取ったのを、
大変もっともだなと強く思った。
「ラストサムライ」も面白かったが、侍の姿では、これはにかなうまい。

「映画「たそがれ清兵衛」」への1件のフィードバック

  1. こんばんわ、明けましておめでとうございますかな。
    たそがれ清兵衛は侍魂を持った男だったのでしょうね。
    だから、サラリーマン的な社会には興味を持たず、
    友人といえども分をわきまえて付き合い、出世を考えるくらいなら、か弱い子供たちや老母の世話の方に興味を覚えた。そして、家庭を任せられる人ができて、侍として死ぬべき時が来たと感じたときは、まっしぐらに進んだのでしょう。
    と、私は思ったのでした。
    ま、男の中の男っちゅうことなのね。お話だから。。。。。
    できれば、平サラリーマンに徹して、家庭を守って欲しかっったけれどね。
    でも、良い映画でしたね。

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