マイテ著「The Most Beautiful: My Life with Prince」を読んだ

「ザ・モスト・ビューティフル プリンスと過ごした日々」マイテ・ガルシア(著)、湯山惠子(訳)
シンコーミュージック・エンタテイメント 2023/01/30発売

もともと私はこの本を読む事に積極的では無かった。
「そもそも私はプリンスファンだけど、特に自叙伝を読みたいと思うほどのマイテのファンでは無いし」そんな事を思っていた。
プリンスと結婚したマイテの自叙伝と言う事で、少なからずプリンスについても書かれているだろうしそこを拾い読み出来たらそれでいい、そのぐらいに捉えていた。
しかし、この本を私に勧めた人の口調は強かった。
「これは必ず読むべき本だ」「プリンス研究資料として特別な価値がある」「凄過ぎて読み進めるのに苦労する」「女性には特にキツイ内容がある」、、、
そうなの?ぐらいには私の心にも響き、本を手に取って読んでみた。
結果、マイテが好きになった。

何よりこの本の良いところは何もかも包み隠さず書かれているところ。
私が人生で一番プリンスに意識を集中させていた時期、マイテはプリンスと一緒に過ごしていた。
「何がどうしてそうなるのだろう?」と思っていた数々の出来事の真相が書かれていた。
そのどれも嘘っぽかったり、良いように書いてあるとかそんな事は無く、バイアスが排除された非常にフラットな視点を用いて書かれているように感じた。
私はそれを実現したマイテに心から敬服するに至った。

内容は抱腹絶倒から超絶ヘビーまで振り幅は広い。
ややもすると読み飛ばしたくなるようなところもあったが、ジックリと読みそれが後で伏線であったと分かった。
人生とはどこのどういった経験が後々役に立つか分からないと教えてくれている。
この本は人生とはどのような物かが書かれていると私は感じた。
プリンスファン、マイテファンに限らず手に取って欲しい本だとは、、、なかなか言えないが「海外でベストセラー」?と出版社のページには書かれていたので、そうなのかも?と思った。
欲を言えば、もっとたくさんの写真が載っていて欲しかったかな。
素晴らしい本である事は間違いなかった。

蛇足。
ただこの本はプリンスファンでない人にはかなりのハードルがあるかも知れない。
例えば、「Purple MedleyのPVが~」「チェーンの付いた帽子を~」となんの説明もなく書かれている。
私がプリンスファンであるため、この本を読み進める上で「これはいったい何の事だろう?」と思う事は無かった。
もしそうでない人が読んだ時にその部分がどのように見えるかは、私には想像が付かない。
とにかく飲み込んで読み進めるしか無くなるが、その許容量は目いっぱい広げておかなくてはならない。
何故なら人名もこの勢いで出てくるからだ。
カルメンとかマヌエラとか。
マヌエラで「誰よ?」となる人はこの本の内容を捉えられるのだろうか?

また、どこでも聞いた事も無いようなプライベートでのプリンスについての記述がいくつも出てくる。
しかもそれが分析されていて、非常に分かりやすい。
当時も「プリンスのこの仕草はこのように判断していた」と書かれているので、マイテが非常に聡明な女性だったことが伺える。

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