ひろあつ著「プリンス もう一つの小宇宙~提供曲から分析する知られざる姿~」を読んだ

先に書く結論:”プリンスらしさ”が高い本が出版された。
この”でくくった”プリンスらしさ”はこの本の中に出てくる言葉と思って貰いたい。

「プリンス もう一つの小宇宙~提供曲から分析する知られざる姿~」ひろあつ著 シンコーミュージック・エンタテイメント 2023/03/22発売

この本はプリンスと関連アーティストについていろいろ書かれた本だ。
では、いったいどのような本だろうか?
本編が始まっていきなり飛び出す項は「名義の使い分けには理由と基準がある」である。
蛇足ながら名義の主はもちろんプリンスだ。
この回答を持ち合わせている人物はいったい世界にどれだけいるだろう?
著者ひろあつ氏はその中の1人なのだ。
そしてここが「プリンス もう一つの小宇宙~提供曲から分析する知られざる姿~」の始まりなのだ。
「はじめに」の最初は「私の知っているプリンスの曲って、ありますか?」。
序章は「オリジナルは誰だ?」で始まり、その中には「レカストー問題」が挙げられている。
数ページを見ただけでこの勢いなので、私もついついMP研究会ポッドキャストを紹介してしまう。

MP研究会ポッドキャストhttps://podcasters.spotify.com/pod/mizuno-hiroatsu/

このURLをよく見るとhiroatsuと書かれているのが見付かる。
ひろあつ氏の著作に満足した方は是非ここも聴いてみて欲しい。
肉声で素晴らしく濃い内容が聴ける。
次に本を読んだ時、脳内でこの声が再生されるようになると言われている。

閑話休題。
「この本のクライマックスは”白いビニキを着たおばあちゃん”である」と書いて逃げたい気持ちになってきたがそこをなんとか踏みとどまり、この本について私の感じたところを頑張って書こうと思う。

・ちゃんとスタンスがあり文章で説明されている
・考察が突き抜けている
・面白さ重視
・方法論としての”プリンスらしさ”が高い

これらから私が読み取るところは、コミュニケーションを放棄していないこと。
伝えたいものがあり、それを伝える方法を考え抜いてここに形になっている。
網羅的であったりデータベース的ではなく、あくまで話題ファーストだ。
研究結果として伝えたい内容があり、それを伝える一番効果的な方法が取られている。
そこには最小限で紹介されるデータが列挙され、詳細なポイントの指摘があり、深く鋭い分析がなされている。
そこから導き出される結論はまだ誰も辿り着いていない領域にすら触れているように思わされる。
どれもとても面白く記載されている、著者がそれを面白く体験し見つけ出したのであろうと想像する。
再検証の手段は提供されているので、すぐに可能だ。
どうやって手に入れたらいいのか、全く見当も付かない音源が出てるような気もするけど。
議論もインターネットを介して即可能に違いない、、、とか私が言うのもアレだけど。
「間違いなく私もそう思う!」
「いやいや、それは違うんじゃないか?」
「こんなデータもあるけど、これは補強または反例になるのでは?」
「我が家ではそれはヒホヒホヒホヒホと言っているよ」「ホヒホヒホヒホヒかも知らん」←?

プリンスの楽曲はボーカルがハッキリと聴き取れるものばかりで、聴き取りにくいものは極々まれだ。
言語による伝達を放棄していないととても感じていた。
言っている事は聞きとれても、その意味がさっぱり分からないような事はあったような気もするけど。
プリンスの未完の自叙伝もトピックマターだった。
ルーツに敬意を払いそれをブラッシュアップしていて、さらに独自性を練り上げ織り交ぜる。
それがこの本でも用いられていると私は強く感じた。
このことから私はこの本の記述の方法論がとても「”プリンスらしさ”が高い」ように感じたのだ。

「ひろあつ著「プリンス もう一つの小宇宙~提供曲から分析する知られざる姿~」を読んだ」への1件のフィードバック

  1. こんなに嬉しい感想がありましょうか。
    白いビキニのおばあちゃんは、僕にとっても衝撃で、本当にカミナリ的な感じでした。
    また直接お会いした時に語りまくりましょう!

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