胃潰瘍で入院した話②

救急車が到着し、救急隊員が建物に入ってきた。
「こちらですかー?どちらですかー?」みたいに聞かれたので、玄関の近くで寝そべっていた私は「僕でーす。こっちでーす。」と満面の笑みで答えた。
「意識しっかりしていますねー。」★2-1
タンカはまだ救急車から下しているところだったので起きて立とうとすると、「いやいや、タンカが来ますので、そのままで待って下さい。」とのこと。
「だよね」と思いながら待つと、タンカは玄関の前に下された。
数メートルの距離があり「そこなのか。」と少し思う。
「自力で大丈夫ですか?」
「自力なのか?」と思いながら、「いいですよ、行きますよ」と四つん這いでタンカまで移動。
そのままタンカで人生初の救急車に乗った。
仕事の同僚達も次の作業に入るので、準備や救援要請であたふたしているようだった。
私は「ベテランばかりなので大丈夫だ」「今のメンバーでも十分回る」と考えていた。★2-2
救急隊員からは「吐血はどちらですか、見れますかー?」なども聞かれた気がする。
ここからは質問責めだった。

胃潰瘍で入院した話①

身元確認から、状況の確認、容体の確認、感染症についてなどなどたくさんの質問を受けた。★2-3
「吐血はまだ出ないですか?」
「もう出ないです」
「どのぐらい出ましたか?コップだと何杯ぐらいですか?」
「ん-むー?3~4杯ぐらい?」
と答えたが、後で考えるともっと多く、洗面器いっぱいぐらいだった思った。
体温を測ると37度以上あり、理由が分からず驚いた。
心拍を取るための電極を付けられ、血圧を測られたりした。
私は数年前から検査で鉄欠乏性貧血が出ていたので、それを救急隊員に伝えた。

救急車の中は非常に暑く感じて「マスク取っていいですか?上着も脱ぎたい、靴下を脱ぎたい、メガネも、指輪も」と言うと、忘れ物になる事を恐れてか、あまり歓迎されなかったがすべて叶った。
「ティッシュはありますか?鼻をかみたいし、口の中をゆすぎたい。ゆすげなければティッシュでぬぐいたいです。」
「感染症がウンヌン」とか言われながらも、これもスムーズに叶えて貰えた。
「ゴミはここに」とビニール袋に厳重に保管された。
これに限らず感染症対策の意識があったようで、いつもまるで意識していない私は「大変だなぁ」と思った。
救急車の中で一度、別の仕事の電話がかかったが急がない用事である事を祈りつつ後で折り返す事とし、この時は出なかった。

その間、別の隊員が救急病院を探していた。
「うちが〇〇なので、近くの□病院がいい。救急もやってるハズ」とリクエストするが、「今の場合の救急に対応出来る先生のいる一番近くの病院に入りますので」と言われ納得。
4件ぐらい当たり、受け入れて貰える病院が見つかった。
私は行き先の病院名を聞いたが、それがどこにあるのか全く分からなかった。
某有名日本庭園の近くらしい、そんなところに病院なんてあったかな?と思う。
しかし、なにより先に妻に伝えなくてはならないと思い、救急車の中から電話をかけてそれを伝えた。
「□□って病院に行く。うちからちょっと遠いかも知れない。」
「なにか要るものは無い?入院になるの?着替えやタオルを持って行くといい?」
「まだ入院になるか分からない。車を現場に置いてきているので迎えに来て貰わないといけない。また連絡する。」
「入院決まったら言ってね」
「そうやね」
極めて冷静でスムーズなやりとりだった。★2-4
後で聞くに妻は「吐血したなら服が血まみれでは?」と「入院に必要な物は?」と思っていたらしい。

救急車はサイレンを鳴らし受け入れ先の病院に向かって出発した。
「車が一台追いかけて来ています。」
「ええぇ!?誰?嫌だなぁ!車のナンバーは分かりますか?」
「仕事の同僚でしょうか?ナンバーは分からないですねー。」
「あー、信号で止まっています。振り切りました。」
私は努めて悠長に話していたが、実際のところすごく嫌だった。
作業メンバーが誰か抜けて来ていたら作業が回らなくなってしまう。
救急車を追いかけて走るのは交通違反では?信号で止まってくれてよかったが。
それに追いかけてきて何をするつもりなのか!?何を思って付いて来ているのか?そんな事をするのは誰なのか?
受け入れ病院は出発前に救急隊員からその場の人にも教えて貰えるのでは無いのか?
追走までする必要は無く、後でゆっくり来ればいいのでは?
一番混乱した瞬間だったけど、嫌なので気にしない事にした。

救急車の中でタンカは頭が進行方向を向いていて、結構スピードを出す瞬間があるようで、独特の揺れがあった。
「さすがに揺れると気持ち悪いですね」と車酔いの意味で救急隊員に言うと「意識がもうろうとしますか?」と聞かれたので「いえ全く」と答えた。

病院に付いて、救急車からタンカで下され、病院のストレッチャーに自力で移動した。
ここから病院の救急にバトンタッチとなった。
「問答無用に注射とか打たれたら嫌だなぁ」とか考えていた。
私は意識していなかったけど、上着から指輪、靴下までちゃんと私のそばに届けられていた。

★印は今回の件で「運が良かった」と思ったところで、別で記事にまとめたいと思っていたが面倒に思えてきた。

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