胃潰瘍で入院した話④

次に検査として、レントゲン、CT、胃カメラを受ける事になり、ストレッチャーごと移動。
この救急対応時に私はトイレに行かなくて済んで良かったと思う。
吐血した前に下血した時に用便を済ませていたからだ。★
もし、この時トイレに行きたくなっていたら面倒だったろうと思う。

先ずはレントゲン。
私「なぜレントゲンするんですか?」
先生「念のためです。」
ブッ倒れたワケでもないし骨はなんとも無いハズ、と思いながら腹部を数枚の撮影。
胃に溜まった血が写ったりするのだろうか?とか思うが、後にも「結果、なんともありませんでした」としか聞いていない。

CTは大きな機械に入り込む感覚にちょっとドキドキでなかなか楽しめた。
痛い事も苦しい事も何も無く、短時間で終了。
結果は後日に出るとの事だった。
先生「朝昼は何を食べましたか?」
私「実は朝も昼も何も食べていません。午前中に水分補給にジュースを飲んだだけです。」★
先生「なんと!胃カメラにはなお好都合です!」
実はその前の夜も食べてないと思ったが、聞かれてないので伝えなかった。
そして始まった胃カメラは地獄だった。

胃潰瘍で入院した話③

口の中にスプレーで麻酔を吹きつけられる。
横に寝た姿勢になり、口に導入の器具を構える。
先生が操作する胃カメラが口の中に挿入される。
横に若い女性の研修医ちゃんが居て、何か記録を取っている。
胃カメラは太くて1メートルほどの長さがあるものだった。
どこまで入るのだろう?そしていつまでかかるのだろう?
最初は胃カメラを飲みながら「呼吸は出来るし、異物感もそれほどでもないし大丈夫だ」と思っていたが、胃の中での操作が始まるとそれは耐えがたいものだった。
私の胃の中はやはり出血が多量で、確認したい胃壁が見えない状態だったのだ。
そのため胃カメラから水?エアー?をスプレーして血をどかし胃壁を確認するのだけど、それは嗚咽が漏れるような極めて気持ち悪い操作だった。
やはり大きな潰瘍が見付かり、それは血管も含んでいてまだ血が出ているとの事だった。
先生「電気ショックで焼いて血を止めます」みたいな事を言われたのだけど、必死な状況で正確になんて言われたのかは思い出せない。
背中に電極を付けられ数度、患部を焼いた。
「こんな処置があるのか!トンデモナイ荒治療だ!しかし手術で切り開くよりはいいか」と思った。★
また、血が出ている個所をクリップで止めると言う事も2カ所した。
「そのクリップは治癒の後どこに行くの?取り除く処置がまたあるの?」疑問はあれど、言葉にして伝える事は出来なかった。
胃カメラでの患部探しは続き、十二指腸まで診るとの事で、長さにして約1メートル、時間はおよそ20分ほどあったかと思う。
今回の入院で受けた処置の中で一番辛かったのが、この胃カメラだった。
終わった時のやれやれ感はかなりの物だった。
先生「十二指腸まで診ましたが、潰瘍は胃に1カ所しか見付けりませんでした。ただそんな昔からある物では無いので貧血の原因になるものでは無いですね。」
先生「ピロリ菌が昔からいるような感じでした。ピロリ菌がいると胃潰瘍の可能性が高くなるんです。」
この場ではそう言った簡単な結果だけを聞いて、私は病室に運ばれた。

4人部屋の普通の病室で、看護師から入院についての説明を聞いた。
心拍と酸素濃度を通信する機械を携帯しなくてはならなかった。
トイレには自力歩行でいいが、看護師の付き添って貰わなくてはならなくナースコールが必要だった。
飲食は一切無く栄養は点滴で摂り、口をゆすぐ事だけOKだった。
私は「自販機でジュースやアイスを買って飲み食いしていいか?」と質問したが、これは問題外で「経過を診てOKになっていくが、それでも胃潰瘍なのでメニューには制限がある」と聞いた。
病院にコンビニはあるが自分では行けず、欲しいものがある時は看護師に頼まなくてはならなかった。
なので自販機にも自分では行けないのだった。
貧血の処置のため鉄剤の点滴を入れてくれて、これまでも貧血の意識があったので「これは率直に効き目がありそうだ」と感じた。
体に針を刺し何かを注入する事は好きではないが、鉄剤だけはそれでも満足感があった。
感染症対策のため、病室外ではマスクが必要だった。
WIFIも病院内の一部でしか利用出来ないらしいのだが、詳しく分かる看護師に聞かないと分からないようだった。

このあたりで何か特別な状況の意識から戻ったのか「ああ私は入院しなくてはならないんだ、会社を休まないといけない、これは全く予測していなかったけどこう言う現実なんだなぁ」と思った。
処置を施されている間は必死で感じていなかった事を、次に何をすべきか自分で判断してしなくてはならない状況になって感じたようだった。
「来週の仕事の予定はどうしようか、なんとかして全部人に頼まないといけない」と思った。

スマホはあるものの、通話するには病室を出なくてはならなかったので妻にショートメールで連絡を入れた。
病院で入院セットのような物が借りれる事、必要な着替え、入院中に読む本、パソコン、スマホの充電アダプタとコンセントタップ、普段使ってるアトピーの薬、妻は準備をしてくれていてこれらをすぐに届けてくれた。
家から病院の距離も意外に遠く無いようだった。★

新コロナとか言う架空のウイルスの影響で病院内は家族であっても面会が全く出来ず、届け物も看護師に受け渡す形で行われた。
妻から受け取った物は無駄が一切無く的確だったので、非常にありがたかった。★
通常はこんな場合「あっ、これ要らない」って物があると思うが、それが全く無いと言う事はこれ以上ないほどの快適感だった。

病室はフロアの中で一番トイレから遠い部屋だった。
点滴を入れているため、1時間に1度ぐらいのペースでトイレに行きたくなるのが困ってしまった。
点滴のスタンドも持って行かなくてはならないし、私にとっては人生で初めてのタイプの苦難だった。
トイレには看護師を呼ばなくてはならないのだけど、あまりに私がシャキッとしてスタスタ歩いているのでその意味が分からないぐらいだった。
来て貰った看護師にも「なんで?」みたいにリアクションされたりもした。
少し疲れはあったが意識はハッキリともしているし、数回目にはこっそり自分でトイレに行き、さらに元気な感じだったので実家への連絡と仕事の電話を片付けたりもした。
談話室のような場所の蔵書をチェックしたりした。
「病院にこの蔵書は場違いでは無いのか!?」例えば藤枝梅安的なものがあったりして、面白く感じた。

その後、病室で妻から受け取ったものを最低限使えるようにセットし、スマホで大量にショートメールをして過ごした。
仕事関係の内容と、妻への連絡を延々メールしていた。

★印は今回の件で「運が良かった」と思ったところで、別で記事にまとめたいと思っていたが面倒だった。

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