意図せずに数学を語った日

ある時、人から急に数学の話を持ちかけられた。
あまりに急だったの驚いて少し聞いていると、
その人は数学者の書いた本を好んで読んでいるようだった。
アマチュア数学ファンと言うワケでも無さそうだし、
議論にもならなさそうなので、
私は警戒を解いて自分が大学で数学を専攻していた事を話すと、
相手はそれに驚いてこう言った。
「うちの息子も今、大学で数学をやってるんです!」
私の口からは心臓が飛び出すところだった。
思えばそうだった、私が大学に行っていた時も、
親は数学者の書いた本を買ってきては読んで、
数学について知識を得ようとしていた。
それは不安から出た行動のようだった。
心配の根底に「数学は何の役にも立たないもの」と言う認識があるようだった。
「数学は天才のやるもの、凡人にはどうにもならない」や、
「数学はひとりでやるもの」と言う偏見も手伝って、
数学を志す子を持つ親は、漏れなく不安に駆られるようだ。
私はそれを知っていたので「数学はこんなにも役に立つよ」と頑張って話した。
「”数学は芸術”とか言う人がいるけど、それは嘘!」など、
偏見を取り払うようにも努力した。
私にとっては久々に数学について語ったひと時だった。
話していると「多分、あの本を読んだんだろうなぁ」といくつか思い当たった。
今度、会う時にはお薦めの本を調べておこうかな。

「意図せずに数学を語った日」への2件のフィードバック

  1. 調べたらぜひブログで紹介してくださいな。算数リターン派なんでどうも当たり外れが多い…

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