落ち込んでいた気持ちが、私のお気に入りのプリンスの曲「S.S.T.」を聞いても回復しそうになかったので、ショック療法のためにこの映画を観に行った。この映画は私のいつも参考にしている「超映画批評」で見て、この映画は高得点を獲得していたので安心して観に行けた。
私は「911テロ」が起こった時は、夜なのにまだ仕事中で職場にいた。そこにテロについて同僚からメールが飛んできて、ネットで情報をリアルタイムに探した。情報は錯綜していて「ツインタワーにジェット機が衝突した」「他にも5機落ちた」とか「6機行方不明」だとかてんでワケ分からなくなっていた。「とにかくとんでもない事が起こっている」そう、思わされる状況がそこにあり、私もPCのモニターの前でそれを体験した。その後すぐに家に帰り、TVからジェット機がビルに吸い込まれていくシーンを何度も繰り返し見せ付けられた。私はそれを見て、これは戦争そのものだと感じた。
そして、この映画はその時の感覚を思い出させるリアリティを持っていた。
スクリーンの中では情報の錯綜が起こり、それにより登場人物は行動に躊躇する。
誰も決定的なシーンを目撃していないまま行動し、本当の事を伝えられてもそれが本当なのか分からない。目の前では超高層ビルの高層階から飛び降りる人が後を立たず、その地面との衝突音が響き渡っている。テロの1年目に公開された現場に居合わせた消防隊を追跡したドキュメント映像を思い出す。本当にそれと同じような映像がスクリーンに映し出される。映画の映像は、観るのが嫌になるほどリアルだった。
救助に向かったハズの人達が、生き埋めにされてしまう。「この映画は生存者の証言に基づいて作られているハズだからこの人達は助かるんだよね?」とは思えど、全く救われる気配の無い絶望的なシーンが続く。
映画は95%が悲劇的な場面を映し出しだしていたが、99.9%の場面で人の善意を映し出しているように思った。残りの0.1%も直接的な表現は避けられていた。テロは自然現象ではないけれど今はそれはおいといて、この映画を観て欲しいと言った配慮ではないかと思った。
この映画は隣人愛に満ち溢れる映画に見えるのは私だけだろうか?
公式サイト:ワールド・トレード・センター
そして、隣人愛を見つける事の出来る自分に気が付いたので、私のショック療法作戦は良かったんでないかと思った。