火曜の夜の帰り道に(その1)

火曜日の夜、少し残業をし先々週からやっていた仕事が一段落付きました。
時間はだいたい、今からリズボクに行くと19時半ぐらいでカリの途中からぐらいになるかな?
と言った時間だったのですが、この日はリズボクに向かわずに家に帰る事にしました。


帰り道の途中、私が某市某町の信号の無い交差点の優先道路を
直進しようとしていたところ、
目の前で1台の軽トラが右路地から一旦停止した後に右折してきました。
私は急ブレーキを踏み可能な範囲でハンドル操作も行い回避動作を行ったものの、
飛び出した軽トラの出合い頭に衝突しました。
私の車は交差点の左手奥で止まり、
相手の車はそれより先で縁石をまたぐ形で止まりました。
自分は怪我が無かったので車からすぐに飛び出し、
相手の車のウィンドーを叩き「大丈夫ですかー!」と声をかけました。
中には年配の男性がいるのが見えました。
シートベルトをしていたので無事そうでしたが、声をかけた時の反応は鈍く、
こちらを見るもロックされたドアを開けて貰えませんでした。
この時、私の車が交通の邪魔になっているようでしたので、
すぐに車に戻りハザードを点灯させ、
右前部は損傷していましたが動くようだったので、
歩道に乗り上げました。
その後すぐに最寄の警察署に事故を通報しました。
場所を的確に伝えられなかったのでその時、
近所の人に聞いたりしました。
この場所は事故多発交差点なのだと聞きました。
相手はこの時、軽トラを発進させようとアクセルを踏んだりしていましたが、
縁石に乗り上げ車の底が当たっているため全く動けないようでした。
通報を終え、相手の車を見ると少しドアが開いていたので、
「大丈夫ですかー?」と聞くと、
ここで初めて「大丈夫」のような返事があったように思います。
この時もまだ相手はシートベルトをしたままで反応が鈍く、
ショック状態か何かだと思いました。
怪我が無いならば大丈夫だろうと、
私は次に自分の車の保険会社に連絡する事を考えたのですが、
連絡先が分からず先ず自分の車のディーラーに連絡しました。
ディーラーには直ぐに電話が繋がり事故を伝えると、
場所と状況を聞かれました、場所はともかく、
状況は「まだ通報して、警察が来るのを待っているところ」だと伝えると、
「また状況見聞が終わってから連絡下さい」と言われたので、電話を切りました。
私がディーラーと話している間に相手の男性は車から降り、
私の目の前で電話が終わるのを待っていました。
特に混乱している様子ではないしどちらかと言えば冷静に落ち着いている様子でした。
電話を終え話してみると、
「車が動かない」
「どうしてこうなったのか?」
「これは誰の車か?」
「あなたは警察か?」
「当たっていない」
とわけの分からない言うので私は相手をショック状態と判断し、
じっと警察を待つように提案しました。
事故の事を話したのではより混乱すると思い、
私が「家族には連絡しますか?」と聞くと、
「うちには誰もいない」
「女房が入院していて、お見舞いの帰りだ」
「今は1人暮らしだ」
とはっきりとした返事が聞けました。
この間、私は相手から何かの強い臭いを感じていました。
それは私にとっては普段では嗅ぐ事の無いない臭いで、
お祭りの獅子舞を思い出すような臭いでした。
そうこうしていると、すぐに1台のパトカーがこちらに向かって走ってきたので、
私は手を上げ誘導しました。
警官が降りてきて私と年配の男性を当事者と確認すると、
いきなりその男性に向かって「あなたはお酒を飲んでいませんか!?」と強く言いました。
それから、先ず警官は乗ってきたパトカーを移動し歩道に乗り入れました。
その時ちょうど、相手の男性は知り合いの車が通りかかったらしく、
その車の運転手と路上で話していました。
警官が「危険だから」と男性を呼び寄せ、次に男性に水でうがいをさせ、
「免許証を見せて下さい」「アルコールの検査をします」と告げ、
パトカーの助手席に座らせました。
また、無線で「一方は飲酒の疑いあり」などと伝えていました。
私はこの時に一度自分の車に戻り、免許証と車検証などを確認し、
保険会社への連絡先も把握しました。
私は早い方がいいハズだと考えていたので、
警官に「保険会社に電話しててもいいか?」と聞いてから、
保険会社に電話連絡を入れたのですが
やはり「警察の状況見聞が終わってから、また」と言われました。
見ると警官は年配の男性にアルコール検査のフーセンを膨らませるように指示していました。
なぜか相手はこれに従わずのらりくらりとした態度を続けるので、
ついに「今から1分以内にそのフーセンを膨らませないと逮捕します」と告げられました。
相手はこれには驚いた様子でしたが、しかしフーセンを膨らませず、
そうこうしている間に逮捕が確定し、手錠がかけられました。
手錠は全体がつや消しの黒色をしていて、
なんだかそれが本物なのかと違和感を感じましたが、
それは紛れも無い本物でした。
見るといつの間にか事故処理の車が到着していて、
警官が私に通報者である事や当事者である事を確認しました。
しかし、今となっては事故よりも逮捕の方が優先度が高く、
とてもバタバタとした様子でした。
軽トラの中を調べた警官に私は呼ばれ、車内を覗くと、
すごい日本酒の臭いが立ち込めていました。
そして、コップ酒の容器が見つかりました。
状況から見て、どうやら相手はコップ酒を飲みながら運転をしていて、
ぶつかった衝撃でその酒を車内に飛び散らせたようでした。
その後、軽トラは証拠として警察署に警官が運転して運ばれました。
先ほど動かなかった軽トラもバックすれば案外すんなりと縁石から出ました。
その時、スーツの50代ぐらいの男性に気が付きました。
警官と話すところを聞いて、彼が事故の相手の息子である事が分かりました。
「おたくの親父さん、飲酒運転していたようですよ」と警官が告げると、
「コップを持ってか!?」と驚いたように答え、
警官が「やっぱりか!常習犯だな!息子さん知ってましたね」と言うので、
その男性はバツが悪い様子でとたんに否定しました。
ともかく、この男性は先の車で通り掛った人から連絡を受けて急いでここに来たそうでした。
しかし、その父親に当たる年配の男性はすでに逮捕されており、
パトカーの中に捕らわれていました。
事故の見聞は後回しと言う事が警官から告げられ、
私は自分の車をどうするか?と聞かれるので、
自分の車のディーラーに連絡してあるので、取りに来くるようにこれから伝えると言い、
1人の警官に車のキーを預け、引取りの立会いを依頼しました。
私は必要最低限の貴重品と車検証等の必要と思われる書類を手に持ち、
パトカーで警察署に送られました。
警察署では飲酒検査拒否での逮捕についての調書が作成されました。
最初、初めての事で要領を得ず、自分の見た事実を完璧に言葉で再現しようと努力したのですが、
警官から「そうではなくて自分の見た感じ、思った事、考えを言って下さい」との言われ、
意見を言うようなつもりで話しました。
「私は普段から安全運転を心掛けています」
「飲酒運転はいけない事だと思います」
と書かれている調書を見て、最初違和感を覚えましたが、そういう物なんだと理解しました。
また調書を作成している時に考えたのですが、
事故の相手は酒に強いらしく車を降りてもしっかりと歩いていましたし、
言葉もハッキリしていて、顔も赤くなっていませんでした。
私から見て、一目で酔っ払っていると判断出来ませんでした。
そして相手の行動はこの時になって分かったのですが、
事故を無かった事にして逃げようとしていたようでした。
もし当たった後、車が動いていたらどうなっていた事かと思います。
多分、逃げたところでまたどこかに当たっていたのではないかと、、。
警察署では警察のロゴの入ったガムを一枚頂きました。
激しい空腹だったので即座に食べましたが、結果的に空腹感は増しました。
逮捕調書の作成が終わると、次に事故の状況見聞と言う事で現場に戻りました。
戻り道では警官も「私も何も食べていない腹が減った」と漏らしていました。

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