映画「悪魔のいけにえ」 The Texas Chain Saw Massacre

ネットでゾンビ映画を探していた時、この映画への賞賛がたびたび目に入った。
観た事は無いけど全く知らない映画では無かった。
私にとっては「モンスター物」で、好きでないタイプの映画だと思っていた。
ところが書かれている内容を読んでみるとそうでない。
それに前回にも書いた「AMERICAN NIGHITMERE」って恐怖映画作成ドキュメンタリー映画でも、
「悪魔のいけにえ」は絶賛されていた。
「13日の金曜日」や「羊達の沈黙」など多くの映画に影響を与えた名作らしい。
以前に「エクソシスト」を観たときも、あの物凄い論理的な恐怖に「これはトンデモナイ!」と思った。
「イージーライダー」は恐怖映画ではないけどこれもトンデモナイ!映画だった。
なんかそんな期待からこの映画をついに観てみる事にした。
レンタル店に行ってパッケージを観た時点で気を失いそうだった。
テキサスチェンンソー物だけでいくつも作品があるし、
中でも原作のことにでは長文の推薦文が付いている。
なんでもこの映画に描かれているレザーフェイスと言うモンスターは伝説的なんだとか。
さらには「ニューヨーク近代美術館にフィルムが所蔵されています」とかなんとか。
学芸員にヒドイマニアがいるだけの話だろう!
どこぞのレコード博物館にもPrinceの数ある作品の中で「Dirty Mind」だけがあったし、そんな感じかと;;
この様にニューヨーク近代美術マニア館に所蔵されている作品は2つだけで、
もうひとつは「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」なんだって、マニアおつかれさまです。
だったら「エクソシスト」も是非とも所蔵して欲しい。


借りてきて観る前から怖いので、結構ウダウダしてた。
短い映画だからと一気に観たら、普通じゃない映画だとすぐに分かった。
この映画はモンスター的なキャラクターがメインなんじゃない。
映画の中ではいくつもの上手く行ってない事が重なって出てくる。
情報不足、ガソリン不足、都会と田舎のギャップ、雇用問題などなど。
そしてこれと言った明確なラストが無い。
ひとりとは言え主人公のひとりが逃げ切ったからOK?
レザーフェイスのファミリーの一人が車に轢かれたからOK?
レザーフェイスは標的を見失った後も元気いっぱいチェンソーを振り回してる。
内容以外にも、映像の映し方が物凄かった。
古い映画だからと言うのもあるだろうけど、
なんの特殊効果も無く、残虐シーンが映し出される。
今の映画だとヤられる側が「ギャーギャー」叫び回り、効果音が入ったり、顔がアップになったり、ちょっと真正面でない角度から映されていたり、スローだったり、ドアップ過ぎたり、血シブキが舞ったり、とにかく効果が入っている。
でも「悪魔のいけにえ」では全くそういうのが無い。
ひとりの男が古い家をたずね「こんにちわー、だれかいませんかー?」(あれ?なんだこの家?違和感あるな)と言った様子で中に入る。
その普通の撮られてたシーンに、レザーフェイスがスッと現れ、なんの造作も無く武器が振り下ろされる。
攻撃を受けた男はそのまま倒れ、レザーフェイスはその男を引きずり扉を閉める。
ほぼ1ショットで特殊効果無しでこのシーンが映し出される。
(ちょっとだけ男がピクピクしているシーンがある)
観客が「そっちはどうなってるの?」と思う角度は画面上で映し出されない。
観客は、映画の観客でなくて事件の目撃者になる。
「これはトンデモナイ事が起こってる!」どうしょうもなくそう思う。
そしてレザーフェイスは映画の中で特徴的なモンスターキャラクターではあるけど、
真の意味で超人的だったり超常的な存在では無くて、あるタイプの人ってだけで、
かなり風変わりな家族と暮らしている。
その家族はどうしょうもなくそう言う暮らしをしているようで、
特に組織的に望んでそうしている様でも無かった。
その暮らしを楽しんでいる様子でも無かったし。
ただ、その暮らしが長く続いていたのか、慣れている様子だった。
いろいろなリアルな背景が重なって異常な状態になっていて、
画面の中でトンデモナイ事件が起こっていると伝わってくる。
映画の構成としても、無駄なシーンが無く、伏線も自然だった。
残虐シーンは思いの外少なく、むしろ観やすい映画だった。
そして物凄い恐怖が心に残った。
こんな完璧な映画は無いと思った。
創作の産物とは言え、神がかり的なものを感じるぐらいだった。
オススメだけど、オススメじゃない、見事な映画だった。
私は1度観て、すぐに2度目を続けて観て、
2~3日してもう1回観た。
やられた!

「映画「悪魔のいけにえ」 The Texas Chain Saw Massacre」への3件のフィードバック

  1. 「悪魔のいけにえ」の素晴らしいところの例。
    メンドクサイ言い伝えみたいのが出てこない。
    「この湖の周りでキャンプするとジェイソンが出てきてウンヌン」
    「以前にこの辺りをレポートした人は帰って来れなくて、フィルムだけが見付かったウンヌン」
    「この呪いのアイテムは悪魔を呼び出す鍵になっていてウンヌン」
    じゃなくて、「悪魔のいけにえ」では、
    「この近くにはト殺場があって、昔はいっぱい雇用があったけど、オートメーション化されて失業者がいっぱい出たんだよ。」
    見たか!このリアリティ!
    何の違和感も無い!

  2. オリジナルを見たんですね。
    あれは、いやーな感じの映画ですよねえ。あれ?と思ってるとあっさりと殺されて次のシーン。ラストも特にオチがなく、こいつらこのまま同じ生活を続けてくんだよな…っていういやーな感覚だけ残る。女性が殺されかけるシーンで瞳孔開いててとても演技とは思えんという記述も読んだことがあります。確かにあのシーンの尋常じゃない感じは後からきます。
    人には勧められませんが、ホラーとしてはやっぱりすごいと思います。

  3. >ひろあつ
    全くスゴイ!作品です。
    観て良かったですけど、本当に人に薦められないです。
    この良さを広めたいとは思えど、、、。

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