能登応援ボランティアに行って来ました

この土曜日に能登半島地震災害ボランティアに参加して来ました。
石川県産業展示館からボランティアのためのシャトルバスが運行され、私はそれに乗り朝6時半出発で被災地に向かい、9時頃~15時頃まで作業し18時過ぎにまた石川県産業展示館に帰ってきました。天気予報で午後から雨だったためか、作業時間は短くなっていました。本来は18時までの作業のようでした。
私はこれがボランティア初体験で、もし目的を聞かれれば「ボランティアと言われる事をしてみたかった」と言うのが正直なところでした。そして「被災地の方の力になりたい」と言う思いは現地に着くまではあまりに漠然としたものでしか無かったです。私に次またボランティアに行く事があるのかどうか分からないですし、何かの参考になればと気が付いた点を主にこの記事を書きました。
私は行く前にジムの仲間に「ボランティアに行って来る」事を伝え、ボランティア経験者の方からたくさんのアドバイスを貰ってました。服装や持って行ったらいいものはもちろん、ボランティアの現場の様子、被災者の気持ちについてもいろいろ聞きました。これは物凄く参考になり、感謝しています。ジムの仲間と一緒にボランティアに行ったのも心強くて、より積極的に行動出来たんじゃないかと思いました。同じ地区には個人の人も多かったですがボーイスカウトなどの団体も作業に来ていました。
具体的に作業を始めるまで、自分がどんな事を担当して、どんな事が出来るのかイメージ出来ず、不安に思ってました。被災地の受付であまり詳しい作業説明は無く、4人のグループに分かれリーダーを決め一輪車とスコップを渡され「瓦礫を通りまで出して下さい」ぐらいの指示をされました。後で、土嚢袋も貰い、使いました。基本的な作業は瓦礫やゴミの運搬でした。建物などが破損した瓦礫や被災者が路地に出しているゴミを集め、収集車が回収しやすいところまで運ぶ作業をしました。実際に一番運んだのはカワラでした。カワラは再生出来るためか、他の物とは完全に分別して集められていました。


最初は「どこから手を付ければいいんだろう?」と言った感じで、どれが運ぶものなのかどれがそうでないのか?が分かりませんでしたが、少し作業をするとそこで初めて、まだ手付かずの状態の瓦礫はたくさんあり、非常に人手が必要で地味に手間のかかる作業である事が分かりました。少しでもやらないと見えてこない物がある事が分かりました。そしてその都度で運搬方法と運搬先を確認しないと行けませんでした。また、どのような方法が最適かは人によって判断が違う場合があり、私は団体行動を乱さない事と無駄な動きをしてしまわない事に気を付けました。
例:屋根から落ちて積もっているカワラを見て
ボランティアA「ここのカワラを、向こうのカワラ置き場に持っていこう」
ボランティアB「ここのカワラは回収車の入ってこれる位置にまとまって落ちているからこのままでいいだろう」
ボランティアC「ここにまとまってカワラがあるから、他のところのカワラもここに持って来よう」
その土地の所有者「このカワラはいつ回収されるの?ここにあまりカワラが集まってきてもそれはそれで困るんだけど、、、」
回収作業者「まだ屋根に残ってるカワラもなんとかして落として欲しいです」
→私達の結論:回収車が入れる位置にまとまって落ちているカワラは触らず、むしろ近くのカワラをそこに集めました。
しかし、回収作業者が言うカワラ落としが完了するまでその場所のカワラは回収されないのかも、、、。
カワラ落とし作業は、危険が伴うため、私達ボランティアでは手が付けられませんでした。
これも一例で、常に被災地の作業状況は刻々と変化し、それを新しく見た人はまた新しい意見が思い付くので、コミュニケーション/情報交換の重要性を感じました。現場では「こっちの路地はもう回ったの?」と言う会話は常に繰り返され、これに回答出来る人がその時いればいいのですが、そうでなければ、、、。指示出来る人がいれば、ボランティアの人は分からないまま自分で判断して動くよりも、指示に従うと思います。しかし、的確な指示がどのような人が出来るかと言われたら、難しいです。状況の総括的な管理は不可能を感じました。被災者のお宅を見た時に、いかにも作業がありそうでも住人がいない場合にはどうしていいのか分からず、素通りする事もありました。いずれまたボランティアの人が入る事を祈りました。
この日は天気予報で午後から雨になっていました。昼前には本当に降り始めました。その時に声かけを行うと「屋根にビニールシートをかけて欲しい」と依頼されたのですが、危険が伴い技術が必要な作業になるためお断りさせて頂きました。その時の依頼者の表情はまさに「助けて!」と言う表情で忘れる事は出来そうにないものでした。多分、あのお宅は損傷したものの修理してこれからも住む事になるのだと思います。そんな方にとって悩ましい雨だったのだと思います。周囲を見ると、ビニールシートがかけられている家はごく稀でした。
また、ある時は「家の裏の門の引き戸がゆがんで動かなくなってしまったので開けて欲しい」と依頼を受けました。確かに見てみると30cmほど開いたところで止まってしまっていて、これが開かない限り荷物の運び出しは困難なようでした。私のその扉の間に入り力いっぱい押すとなんとか全開に開く事が出来ましたが、今度は閉める事が出来なくなりました。開く事が出来たあと依頼者に話を聞くと「閉まらなくなってもこれでいい。実は開かなかったら’いっそ壊して欲しい’と言ってた。」との事でした。壊さずに扉を開く事が出来たのは幸いでした。いずれは壊す事になるとしても。
雨や余震は2次災害を引き起こすおそれがあるため、そこから先は注意して作業をする事になりました。雨によって家屋が崩壊したり、カワラが滑り落ちたりと言った場面を見る事は無かったですが、危険はあったと思いました。また雨は作業をしている人の体力を奪ったように感じました。実際、私は安全靴を履いていた事もあって午後には足が疲れていました。余震は心配だったのですが、作業中は目立った余震はありませんでした。考えてみると、作業を始めた最初の方はあまり気が回らず余震があればカワラが落ちてくるような屋根の下で作業をしていた事もあったように感じました。私達は持ってなかったですが、ボーイスカウトの人達はヘルメットをかぶっていました。
体力が奪われるとどのような事が起こるのかハッキリと言えないですが、私の見たものをそのまま書くと、直前にやって上手く出来た作業を次からも続けようとしてその場面で最適で無い場合も前の作業に当てはめようとするように感じました。前の場面で上手く出来た瓦礫運搬方法が次の場所でも最適とは決して言えないのですが、疲れてきて判断力がなくなると適切な判断無く機械的に作業をしようとするようでした。
例:スタミナが落ちてくると
・そこが回収車が入れる場所であっても、カワラを前回運んだ集積所に持っていこうとしてしまう
・カワラを土嚢袋に入れなくても一輪車に載せれるのに、袋に詰めようとしてしまう
・一輪車やスコップなどの道具が必要な場面でも、それが思い付かなくなってしまう
・無口になり一人で作業をしようしてしまう
・逆に話してばかりいるようになってしまう
・必要以上に人を呼んでしまう
・同じ作業をする人が集まり過ぎて逆に効率的で無くなってしまう
・分別されている物を間違って混ぜてしまう(判断が付かない時も起こる)
また私達は今日だけのボランティアでさらにシャトルバスで決まった時間に帰ると定まっているので休憩が’時間がもったいない’と感じ、休み無しでの作業を続けようとする傾向がある気がしました。私は密かに事故が起こりそうで怖かったですが、結果的には私の知る範囲では何もなくて良かったです。ボランティアの人は「今日限り」と言う意識から無理をしてしまうかも知れないですが、事故は迷惑になってしまうので気を付けなくてはならないと思いました。
帰りの集合時間が近づき集合場所に向かいましたが、私は見知らぬ土地なので、本当に集合場所に向かっているのか良く分からないところがありました。道は確認しておいた方が良さそうでした。集合場所に帰ると、ボランティアの人にも炊き出しのおでんが振舞われ、遠慮無く食べた方が良いだろうと思い、遠慮なく頂きました。おでんの具は、練り物オンリーで、近くの企業の寄付なのかな?と思いました。こういった寄付や支援は物凄く印象がいい事に気が付きました。瓦礫を改修していた車には「名古屋市清掃局」とロゴが入っていました。名古屋から支援に来ているのかと思うと、胸が熱くなりました。集合場所に全員が集まった頃には雨はかなり強くなっていました。私達はバスでまた朝集まった石川県産業展示館に向かいました。
私は微力ながら災害ボランティアとして力になれたと感じました。
おつかれさまでした。
【参考記事リンク】一緒にボランティアに行ったリズボク仲間のもっとさんのブログ
ボランティア【準備】
ボランティア【感想】出発
ボランティア【感想】現地
ボランティア【感想】危険
ボランティア【感想】変化
ボランティア【感想】必要

「能登応援ボランティアに行って来ました」への5件のフィードバック

  1. 工夫して、判断しての作業、お疲れ様でした。
    グループに1台の一輪車は、少ないような気もしたし、
    別の場面ではそれで充分な気もした。
    あと運ぶだけ、となったときに、
    土嚢で運ぶのも 回数減らすからちょっとは助けになるかな、
    なんて土嚢で運んでた私です。
    後ろから、借りてきた一輪車で運んでくるロボ平さんをみて、
    「賢い☆私も頭使わないと」と思ったよ。

  2. 何もしていなくて申し訳なくなりました。
    ありがとう。
    鋭い観察力と分かり易いリポート、さすがです。

  3. お疲れさまでした。
    報道で災害の様子を見て、気の毒だと思うだけでなく、
    ボランティアという実際の行動にうつすってなかなかできないですよ。
    頭が下がる思いです。

  4. どもです、みなさん。
    ここのコメントもそうですけど、メールでもこの記事の感想を書いて送ってくれた方がいて、そのどれもが「反省文」になっていました。
    そんな反省しないでいいよ!人それぞれいろいろ条件あるし。
    それに、私はもともと野次馬根性でボランティアに参加しようと思ったんですよ。
    それから「もっと知りたい!」と思うところがあったら書いてください、可能な限りフォローしますよ。
    > motto2
    おつかれー、一緒にボランティアに行けて良かったです。
    一輪車は確かに便利過ぎてたくさんあってもいいように思ったねー。余っている所は見なかったよね。
    一輪車を借りるのは躊躇したけど、最初に借りた時に喜ばれたから、次も借りようと思ったよ。
    > shinji
    機会があればshinjiさんは必ず参加するでしょう!ですから、そんな申し訳なく思う事は無いですよ。
    と言うか、別ですでに参加してますよね?たぶん。
    > ネロ
    報道は被災者の気持ちを汲んで、必要最小限以下に抑えてるっぽいです。
    ですから、現地はもっともっとひどいですよ。
    私も行ってびっくりしました。
    通れない道、渡れない橋がいたるところにあるようでしたよ。
    私の行った場所では無傷の家の方が少ないような感じでした。
    > マイケル狐
    なんとここにコメント!入れたんですね。
    参加出来て良かったです!楽しみです!

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