映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」

この映画がどんな映画なのか知っている人からは、
「元旦からなんて映画を観ているんだ!」と言われそう。
私はこの映画の噂を聴いていて、ずっと避けてきていた。
しかし、年末に私はある事で物凄く落ち込み、
「今がこれを観るタイミングだ」と思いレンタルして来た。
それでも年末は気持ちが落ち着かず、観る事が出来なかった。
新年を迎えると急に思いの他ふっきれてきて、この映画を再生する事が出来た。
これだけ片付かない気持ちで新年を迎えた事は無かった。
大学院の論文を書いていた時期でももっと落ち着いてたと思う。
そんな私にこの映画は「まだ救われる」ように映った。
主人公の女性は彼女のただひとつの目的を達成したのだから。
(以下ネタバレを含む)


観客を完璧に主人公側に描いたこの作品では、
彼女が夢の達成を間接的にしか知る事が出来なかったように、
観客もそれを直接得る事は出来ない。
表現に妥協を許さない点で、私はこの方法を良く理解出来た。
この映画は「後味の悪い映画」として必ず名前が挙がる作品だ。
私の知っている人は「映画館に出向いてまでこんな映画を観てしまって後悔した」と散々に言っていた。
主演女優がビョークなばっかりに同じ思いをした人は少なくないと思う。
私は映画を観た事は無かったが、サントラは持っていた。
始まる前から「後味が悪い」と知っていても、ほとんど意味は無かった。
映画が始まってそれほど時間が経たなくても、
悪い結果が引き出されそうな伏線をいくつも観付ける事が出来るからだ。
またサントラを聴いていた事があっても何の気休めにもならなかった。
映画は基本的に暗く重かった。
しかも、犯罪が起きるシーンがあってからはヒドイシーンがズッと続く。
主人公であるセルマは一貫して自分の目的を追求し、
犯罪の前後を問わずそれを止めない。
自分の生命が脅かされた時でも、それを止めない。
そしてどうしょうもなくその生涯を閉じるのだけれども、
最後の瞬間に自分の目的が達せられたと知る。
その時、セルマはまだ生きて居たかった事を歌って間接的に主張する。
ミュージカルが好きだったセルマには、
人生がミュージカルのようであって欲しかったようで、
生前それを妄想するシーンはいくつもあった。
そして、セルマはミュージカル映画を観た時は終わって欲しく無かったように、
自分の人生もそこで終わる事をあって欲しく無かったようだが、
セルマのそれは急に終わってしまう。
極端な映画ではあるのだけど、私はこの映画を良く出来た映画で、良い映画に思った。

「映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」」への4件のフィードバック

  1. 暗くへこむ映画ですが、それでも見終わった後、母と話をして同じ結論に至りました。
    「母なら(私なら)同じようにする」
    よくわからないけれど踊り出すシーンで涙が出るし、自分も母子家庭故に重なる部分もあったりして余計ずしーんときます。
    良くできた映画だと僕も思います。
    見なけりゃ良かったとは決して思いません。
    むしろ、落ち込むけれど必ず見て欲しい映画の一つです。

  2. 明けましておめでとうございます。
    本年も宜しくお願いいたします。
    何事も経験です。
    この映画を見た経験はきっとロボ平さんに新たな変化をもたらすでしょう^^

  3. ロボちゃん(笑)、今年もよろしくです~。
    >私はある事で物凄く落ち込み、
    >「今がこれを観るタイミングだ」と思いレンタルして来た。
    私も同じような理由でこれ借りて観ました。
    観た後泣くとかを通り越して、ものすごく後味が悪かったけど、
    いい作品か悪い作品かと問われると、“いい作品”かと答えます、私なら。
    もう2度と観ないけど、作品としては素晴らしいっての、あります。
    “コックと泥棒、その妻と愛人”なんかが自分にとってのそんな作品です。

  4. 妄想部分と現実との対比が良く出来ていたので、
    この映画は悲惨な場面をより印象付ける事が出来たのかなぁ。
    妄想の場面のダンスや音楽は時代に合ってないし、より分かりやすかったかも。
    良い映画だと思うなぁ。
    「私なら同じようにする」ってのもすごいですね。>ひろあつ
    私だと「セルマほど上手く出来ない」って言ってしまいそうです。
    確かに私はセルマほど頑張ってるとは言えないですからねー。>てつ
    あのセルマの頑張る姿には心打たれる物がありました。
    私はまた観るかも、と思ってますよ。>ネロ
    同じ映画でも2度目はまた違った印象になる事がありますし。
    「コックと泥棒、その妻と愛人」は全く初耳です、調べてみますね。
    もしかしたら観るかも。

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